「たまあじさいの会」が設立されたのは、二ツ塚処分場が住民と市民との大きなうねりとなった反対運動を権力で蹂躙して開設され、1998年に埋め立てが開始された年である。日の出と青梅の市民が、それへの敗北感もあったろうが、自分たちの出来る範囲で、二つの処分場と2006年に稼働を始めたエコセメント施設の周辺環境の異変を、野外で科学的に調査していこうという趣旨で立ち上がった。
それから26年間、実に執拗に観測を継続して記録し、外部に発表もしてきた。2011年10月からの毎月のエコセメント周辺の放射線、処分場周辺の定例の水質と土壌汚染調査、多摩川の源流から羽田沖まで約20か所にリネンの布を流しての放射能調査を実施してきた。都留文科大学の神長ゼミの実地研究の対象にもなっている。
2021年からは福島県田村市大越町のバイオマス発電所の環境調査を「大越の環境を守る会」へ、当会のノウハウと労力を現場に出前している。高木基金やパタゴニアからの助成もありがたかったが、日の出・青梅に限らず我々の活動に共鳴してくれる人々の支えがあってのことで、着実にシンパを得て広がってきた。
26年間もの地道な活動の「継続」はやはり「力」となっているのである。我々にはまさにバカの一徹で蓄積した施設周辺のデータがある。このデータを解析し分かりやすく説明することで、処分場施設の諸問題を浮き彫りにできよう。
自然を愛し、環境に関心があり、今の資本主義的な、とにかく消費をひたすら促進させる経済活動(行きつく先は処分場!)により、人間と環境からの収奪が蔓延する(みんなが不幸になる)社会に違和感を持つ人々(心ある市民の大半がそうだろう)に届けたい。これをインターネットSNSなどで拡散することで、「たまあじさいの会」も思いがけない次のステージの、これからの本当の社会のありようへの一つの美しいインスピレーションになるかもしれない。
少なくともこの26年間の活動には何の打算も忖度もない、稀有の運動があったことはデータが示す通りなのだから、これからはデータの解析と解釈、説明そしてSNSでの発表。そうすることで、「たまあじさいの会」の思いがけない地平線が向こうに見えるに違いない。
活動報告(2023年度)
定例調査 5月27日・6月17日・7月8日・8月9日・9月9日・10月14日・11月11日・12月23日・1月13日・4月13日
毎月1回行われる、エコセメント化施設周辺の放射線量調査および粉塵調査
・放射線量調査はホットスポットファインダーにより施設周辺を歩きながら連続調査的測定
・粉塵調査は11のポイントの粉塵量をspm測定器Dylos Logger・風向風速計により調査
エコセメント化施設周辺土壌調査 9月9日
田村バイオマス周辺放射線調査 11月25日・26日・27日
田村市大越町バイオマス発電所周辺のリネン布と土壌による環境汚染調査
*パタゴニア環境助成プログラム
多摩川一斉放射線量調査 6月6日~7月4日
多摩川上流から下流まで16ポイントをリネン吸着法にて調査
日の出処分場周辺一斉水質調査 11月2日(前日準備)、11月3日
二ツ塚処分場・谷戸沢処分場周辺の環境汚染調査
SNS対策講習会(HP広報活動、及びSNSの取り組み) 3月17日
都留文科大フィールドワーク 6月25日・7月15日
地域社会学を学ぶ学生のゴミ出処分場見学案内及び学習会
都留文科大「環境社会学科」出前講座
上智大学処分場見学 5月14日
ゴミ処分場に足を運ぶフィールドワーク及び学習会
上智大出前講座 5月20日
多摩市エコフレンドリー処分場見学と環境調査説明会 11月11日
現地見学案内及び学習会
多摩川学会寄稿
富士フィルム・グリーンファンド冊子「Green Letter」寄稿
会計報告(2023年度)
会計 山口隆幸
2024年度会の構成
共同代表 古澤 下向
事務局 山口・中西・濱田・森本・市川・安藤
会計 山口
会計監査 手塚・今井
*たまあじさいの会の活動は皆さんのご支援で成り立っています。引き続き、サポートをお願い致します。