トリチウム汚染水海洋排出の危険性について 【講演報告】

(2021年3月6日オンライン市民環境問題講演会)

去る3月6日(土)表題の講師に元東芝の福島原発の設計建設責任者で工学博士の渡辺敦雄さんを迎え、初めてのオンライン市民環境問題講演会を、「日の出の森・支える会」と「たまあじさいの会」の共催、「日の出の森・水・命の会」協賛により、調布の籠谷さん、八王子ハカルワカルの二宮さんの技術協力を得て開催することができました。
開会の挨拶は支える会の瀬戸代表で、今年1月に亡くなられた横井久美子さん(元副代表)への追悼の言葉、そして全員黙祷を捧げてから始まりました。参加者はコロナ禍の中32名(会場10名+オンライン22名) 閉会の挨拶はたまあじさいの会共同代表古澤さんで無事終わりました。講演の詳報はたまあじさいの会のホームページに掲載します。

【講演概要】

なぜ原発の設計者だった人が、脱原発に転じられたのか?
原発に対する疑問は、1979年のThree Mile 島の炉心溶融の惨事が契機だったということです。そして東芝社内では1991年に原発の担当部署を自らの希望で外れられた。原発は事故を起こすと、人類は到底コントロール出来ない世界の終焉をもたらすようなものは扱うべきものではない。自分が手掛けた仕事が、結果として破局の災害をもたらしてしまった。がしかし、日本の当局は原発事故後の現在も、懲りずに再稼働をなぜ急ぐのか。 かたやドイツは2022年に原発の全廃が確定しているというのに・・・・、
そこで現在渡辺さんは、もう二度と同じ過ちを繰り返さないために、自身の専門知識と経験を活かし、技術者の良心から反原発に積極的にずっと取り組まれている。

今回のテーマであるトリチウム汚染水の処理について
トリチウムという放射性物質はβ線なので、もし人体に取り込まれたら内部被ばくを起こす危険なもの。それを海洋に放出したら、光合成により『有機結合型トリチウム』となり、海洋植物に取り込まれ、食物連鎖、生物濃縮による危険性があり、漁業だけでなく、何れは人間に還ってくる。原発の安全性というものは、住民が被ばくしないことなのである。
結論としては、原発事故による放射能汚染物は暫くの間(少なくとも50年間)は地上に保管するしかないことへ導かれた。幸い現在の汚染水の発生はピークの五分の一程度の日量100トンに減っていて、さらに減る傾向にあるので(最新技術と鳴り物入りで導入された凍土壁はほとんど寄与してないと)、先生の意見では福島第二(2F)にタンクを設置して保管するのが、安全性からも、技術面からも目下最善の解決策であり、海洋放出はあってはならないとのことで、とても判りやすい結論でした。

その後渡辺さんが、東電株主訴訟第57回口頭弁論証人として出廷された様子を www.youtube.com/watch?v=3Vx5kEsdtqg で見ることが出来ます。

(文責:濱田光一)

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