『日の出の一斉水質調査』2019年11月17日

参加者 11名
 今年は例年のように素晴らしい快晴のもと、例年通り9つのポイントにて水質を電気伝導度、水温を採取時に現場で測定し、塩化物イオン濃度、COD、pHを竹林舎に帰ってから測定した。測定に当たっては、できるだけ正確で、科学的であるために一昨年、昨年にご指導いただいた渡邊勇先生の教えを徹底し守れたと思う。今回は、この夏に日の出の処分場を見学に来てくれて、我々にも馴染のある都留文科大学の神長唯教授のゼミ生、二人が参加してくれた。若い人たちと一緒に行動できたのは嬉しい。これからを担う世代の人々と問題意識を共有できたことは希望である。
昼食後、今年も瀬戸先生の水に関わるお話を伺うことができた。今年のテーマは水質汚濁と微生物をめぐる身近な環境問題である。初めは谷戸沢処分場周辺の水質について。後段は、水の浄化と微生物の働きについてである。先生の講義はその途中でいつでも質問を受けてくれる。今年はいつにもまして質問や意見が出て、熱のこもった素晴らしい一時間半の講義となった。

水質調査から見えること

谷戸沢処分場周辺の地下水の流れは、北東方面から南西方向へ、帯のように流れている。たまあじさいの2008年からの測定カ所である志茂下、相沢沖、相沢下の電気伝導度の数値を見るだけでも、処分場からのゴミ水が地下水脈を汚染し続けていることは一目明瞭である。それどころかその異常な数値は、長い年月を経ても減衰していない。今回の測定結果も、その悪い期待を裏切らなかった。その証拠に、処分場の下を流れる地下水脈からほんのすこしだけ離れた、しかし処分場を流れる地下水脈の上流にあたる谷戸沢清流の電気伝導度は毎年 40μS/cm以下、今回は38μS/cm であった。これがこのエリアの本来の数値であろう。処分場の南西側に位置するポイントの測定値が一桁の数値が違うことから、処分場の欺瞞、地下水脈への半永久的ともいえる汚染の現実が、いとも簡単に証明されている。

瀬戸昌之先生(東京農工大名誉教授)講義

●汚濁水とは何か、それを浄化することとは?
汚濁水とは、溶けた有機物濃度が高い水であるとのこと。では、無機物が解けている場合も汚濁水というのか?イオン濃度がとても高い海水は、それがきれいな石垣島の海水でも汚濁しているというのか?答えとしては、無機物の場合は、ケース・バイ・ケースであるということである。水銀など重金属で汚染された水は無機物であっても汚濁水である。汚濁を浄化するとは、この有機物濃度を下げることである。その時に受講者から質問があった。有機物と無機物の違いとは?有機物は全て炭素を含むものと定義されるが、二酸化炭素CO2は有機物ではない。無機炭素化合物というものがある。自然界、河川や湖沼に流れ込んだ有機物は、先ず微生物が取り込み、微生物の組織となったり、CO2を発生する。微生物は、ミジンコなどの餌となり、魚まで食物連鎖をもたらす。

●BOD(生物化学的酸素要求量)とは?
有機物が多いと酸素をたくさん吸収する。だから水の採取直後と、5日後の測定で酸素が大量に消失された場合、その水はやがて好気的微生物による分解は頭打ちとなり、結局、悪臭、有機酸やメタンなどをもたらす嫌気的分解、つまりは腐敗することを意味する。

●都市下水は有機物濃度が高いが、次のように処理される
一次処理(沈殿により、土砂など固形物を取り除く)
二次処理(活性汚泥による。曝気により酸素を微生物に供給する)
三次処理(有機物濃度を下げた処理水から、窒素やリンの成分を除くべき)

●活性汚泥処理の問題
窒素やリンを除く、三次処理が出来ていない。(富栄養化の原因)
湖水のアオコや海の赤潮などの異常発生、人間は悪臭などに苛まれる。
人間に役立つものが環境学。自然をありのままに捉えようとする生態学とは立位置が違う
活性汚泥は微生物の塊。肥料として最高。しかし家庭排水にのみ限られる。工業廃水には
水銀やカドミュウムなど有害重金属や、難分解性の有機(塩素系)廃棄物が含まれる恐れがあり、肥料に用いるのは問題である。分別して資源となるのは、ゴミだけではない。しかし分別するのに費用が掛かるとされているのが問題である。

●『生ごみ』の処理について
有機物が水ビシャでなければ、酸素が内部に入るので微生物により分解しやすい。乾燥により単に重量や体積が減少するだけでなく、分解されているので『良い堆肥』となり得る。
微生物の中には、農薬などを分解する能力のあるものも存在する。

●窒生物圏における窒素の循環
大気のほとんどを占める窒素は窒素分子N2のガスの形態で、これは三重結合であるから、おそろしく安定している。しかし微生物の窒素固定細菌の働きで、アミノ基NH2からアミノ酸がたんぱくとなり植物、動物の食物循環を経て、その死骸は従属栄養微生物の好気的な硝化反応によってN2ガスとなって窒素の循環が完結する。
窒素肥料の合成は食糧増産のための人類の悲願でもあったが、ハーバー・ボッシュ法によりアンモニア(NH3)の生産が可能になったのは良いとしても、あまりに過度な使用は弊害をもたらす。さらに化石燃料の使用により、硝酸、亜硝酸が過剰に発生し、それは呼吸障害(チアノーゼ)や発がん性物質を生成することにもなり、世界各地で健康障害を引き起こすことになった。

<本日の瀬戸先生の熱い講義を聞いて思うこと>

我々人類は、この宇宙船地球号と言われる限りあるスペースに生まれ、自然の恵みを受けて生きている。もちろんこの狭い地球に70億人以上がひしめいて、それぞれ勝手に貪欲に暮らしている訳だから、核兵器、核汚染、貧困、差別、疫病、種の絶滅や異常気象、自然災害などの危険や問題から逃れられないが、地球号の自然環境がこれ以上悪化することなく、人類の生存が持続可能なものであってほしいことは、洋の東西、人種、社会体制や宗教、文化の違いを超えて、人類衆目の合致するとろであろう。
今回の講義では、植物が行う光合成(炭酸同化作用)については直接触れられなかったものの、微生物の働きによって有機物が分解されること。その仕組みはいとも簡単な化学式で説明されることで、有機物濃度の高い汚濁水(下水)が処理されることやゴミの堆肥化もその理論で証明できること。そして(食糧生産、農業問題でも大事である)生物圏での窒素の循環にも微生物が果たす大きな役割を、これは少々難解ではあるが、化学反応の表を示され説明して頂いた。
この地球上の、まずまずは人類に心地よい環境を維持、持続していくためには、植物(光合成で食料をもたらす)の炭酸同化作用と、微生物が果たしてくれる有機物の浄化作用、窒素の循環があって、本当はそれで十分だったのだ。太陽の光と、水と大気と大地があればそもそも何の不足もなく、大自然は、美しく調和が見事に取れていたのだ。その大自然の営みは、ほんとうに簡単な図式、化学式で全部が説明できるのだった。単純な数式は美しい。Simple is Beautiful! 人類の20世紀以降のハーバー・ボッシュ法の発明と過剰なアンモニアの生産や凄まじい化石燃料の収奪は、全くもって余計なことだったのかと、我が身のこれまでの来し方を棚に上げ、そして今後も続くであろう己自身の物質的享受と貪欲さに想像を及ばすことなく、単純にそう思い込んでしまうくらいです。
しかしこの愛おしい地球と世界を出来るだけ持続可能な状態にして、次世代に受け渡すことは真に我ら世代の使命であるとは思っている。誰だって、マイクロ・プラスチックに汚染された魚を、焼いたらプラスチック臭のするサンマは嫌だし、それを次世代に残したいとは思わない。個人の出来ること、しかも現代の物質文明にたっぷり浸かったこの都市生活者のデブに出来ることは僅かなものでしょう。しかしあらためて、この世の中は、太陽と水と大気と大地さへあれば何不足はないことを簡単な化学式で学ぶことが出来た。あとはそれを頭かこころの片隅に置いて、少しだけでも実践する。プラスチックのゴミを拾い減らすのは、賽の河原に石ころを積み上げることと同じなのかも知れません。もしかしたらそれが民主主義の健全化と原発の停止、核の廃絶にも繋がることではないでしょうか。

文責 古澤

 

*「たまあじさいの会」お知らせ(2020年2月)より

*「身の回りの環境の実態を知ることによって、自分たちの環境・命を守ろう」たまあじさいの会の活動の目的です。会の活動は皆さんの会費、賛助金、カンパで成り立っています。 

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