日の出で起きていること!

たまあじさいの会
中西四七生

時は5月の初め、わが家を囲む木々の梢の葉が日一日と萌黄色から緑に移ろい、そんな緑の葉の所々に淡い藤の花がレースのごとく覆いかぶさり、知らぬうち薫風かほる季節を迎えている。

うまき酒とのどかさに酔いしおれば、先日裏山で掘りあげた孟宗竹の4.75 Bq/kgの憂つが飛び込んできた。

25年それ以上も経るか、喧騒とした中野の町からこの日の出町に清流と草木の賑わいの豊かを求めて移り住みしは。

「たまあじさいの会」が処分場周辺の環境調査を始めたのも20年それ以上か。日の出町に移り住んだことの良し悪しはわからぬが、ここで多くに人に親しくしていただいたことは私の記憶からは認知症にならぬ限りおそらく消えないであろう…。

★周辺住民の健康被害の急増

日の出町や青梅市の多くのあまりに多くの住民は、処分場やエコセメント化施設が稼働してからがんや様々な病気で、苦しみ亡くなっていった。ある時期までは、うっすらと処分場の影響かと不安を持って身近な友人たちを見送った。

周辺を漂うダイオキシン類はじめとする多くの毒性の程度さえ国が正確に把握できていない有害化学物質、重金属類、おまけに福島第一原発による放射性物質がエコセメント化施設の煙突やバグフィルターから吹き上げた。

エコセメント化施設の周辺影響を調査していた2014年の秋、地域の保健所のデータと教育委員会の学校保健調査のデータが急激な健康被害の増加を告げた。原因は、すでに医学の世界では明確になっていた。これらの周辺に濃縮し漂う汚染物質であった。これらを呼吸などで吸い込み、体内の活性酸素やフリーラジカルの異常増殖が起こり、がん生活習慣病・アトピー性疾患などが急激に増加し、それが原因で多くの住民が死に追いやられている。下図は、その一例に過ぎない。

日の出町の小学生のアトピー性鼻疾患の急増

日の出町の小学生のアトピー性鼻疾患の急増

 

日の出町の脳血管死亡率の急増

日の出町の脳血管死亡率の急増

 

★裁判の結末

エコセメント化施設稼働差止め裁判も終盤の東京高裁での控訴審、梶山弁護士が、放射能汚染の現場の事実を原告証人尋問によって示そうとした、しかし二人目の裁判長はそれをはねのけて結審しようとした。そのとき梶山弁護士は、裁判長にたいしてきっぱりとそのようなやり方は法を志す一法曹としては失格である詰めの文章をもって通告した。

さすがに裁判長は、これを無視できず証人尋問が行われ、その結果放射能汚染を認め、住民の健康被害を明らかにして結審という運びなった。実に、ながーい異例にながーい控訴審裁判であったが、梶山正三弁護士はじめ日の出裁判を20年以上支えてくれた素晴らしい弁護士さんと多くの専門家の方々に心の中でお礼を言いたいと思った。

★突然!結審直前の裁判長の交代を知る。

二人目の裁判長の原告側への接し方が好意的?になったと思っていた矢先、なんと控訴審としては、異例中の異例の3人目の交代を告げられた。判決は、環境省が推進している周辺環境破壊も住民の健康影響もお構いなしの「ごみを焼却して最終処分する。」現行の政策を認めるヒラメ裁判官によるガリレオ裁判であった。「それでも、住民が健康被害をこうむっている!」しかも審理に一切立ち会わないで結審の宣告と判決を言い渡すことになった。

★ごみ問題の解決に向けて!

しかし、よくよく考えると、市民の出すごみの始末は、最終的には、ごみを出している市民自体が責任を負い、ごみの始末も市民が決める権利があるという市民自治の原点に立ち戻って、北欧など多くの環境先進国がすでに行っているようにいい加減ごみの焼却一辺倒から脱却すべきである。20年ほど前に行政に無視された代替案運動を今ひとたび掘り起こすことしか解決方法は見つかるまい。日の出や青梅から三多摩地区に発信して長期的な視点でごみの始末の流れを変える運動がいま求められている。

<ゴミから変えよう・環々学々の会発行『けせらん・ぱさらん』第134号 2016年5月31日より転載>

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